VOL. 1NO. ----Sat24.10.26EDITION--:--

LOADING · TRADINGVIEW

ECONEconomy NO. ---

英国の9月消費者物価、燃料高で3.5%に上昇

英国の消費者物価上昇率は9月に3.5%となり、8月の3.1%から上昇しました。自動車燃料価格が主因で、コアインフレ率とサービス価格の上昇率も高まりました。イングランド銀行の11月の金融政策決定と10月28日の予算案発表を控えた発表です。

By Published 9 min read
ロンバード・ストリートから見たロンドン・シティのイングランド銀行の建物
Diliff / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0 · Source

要点

  • 英国家統計局(ONS)によると、英国の消費者物価指数(CPI)上昇率は2026年9月までの12か月間で3.5%となり、8月の3.1%から上昇しました。
  • 主因は自動車燃料です。燃料価格は前年同月比29.8%高く、ガソリンの平均価格は1リットル当たり169.5ペンスと、2022年8月以来の高水準となりました。
  • 物価上昇圧力は広がっています。コアCPIは2.6%から2.8%に、財のインフレ率は3.2%に、サービスのインフレ率は3.7%に上昇しました。
  • 食品のインフレ率は1.3%で横ばいとなり、レストラン・ホテルが最大の押し下げ要因として上昇の一部を相殺しました。
  • 今回の発表は、11月5日のイングランド銀行の金利決定の2週間前、10月28日の予算案発表の1週間前に行われました。同じ朝に公表されたONSの財政赤字(借入)統計は、公式見通しを上回りました。

英国のインフレ率は9月に再び上昇し、主に燃料コストによる上昇が続きました。ONSが2026年10月21日に公表した統計によると、9月までの1年間のCPI上昇率は3.5%で、8月までの1年間の3.1%を上回りました。前月比では物価が0.4%上昇しましたが、前年の同じ月は横ばいでした。今年と昨年の前月比の動きの差が、前年比の上昇率を押し上げたことになります。

持ち家の住居費とカウンシル税(地方税)を含み、ONSが主要指標と位置付ける、より広範なCPIHは3.3%から3.6%に上昇しました。

9月統計の概要

以下の表は、ONSの統計公報で公表された総合指数と主な構成項目の上昇率をまとめたものです。特に断りのない限り、すべて前年同月比です。

指標2026年8月2026年9月前月比(2026年9月)
CPI(総合)3.1%3.5%+0.4%
CPIH(総合)3.3%3.6%+0.4%
コアCPI(エネルギー、食品、酒類、たばこを除く)2.6%2.8%+0.2%
CPI 財2.7%3.2%+0.8%
CPI サービス3.4%3.7%0.0%
運輸(大分類)4.6%6.6%-0.4%
自動車燃料23.0%29.8%なし
住居・家庭サービス(CPI)4.9%5.3%+0.6%
食品・非アルコール飲料1.3%1.3%-0.2%
レストラン・ホテル4.1%3.8%なし

出典:ONS「Consumer price inflation, UK: September 2026」、2026年10月21日公表(データ時点:2026年10月21日 06:00 UTC)。「なし」は、本記事で使用した概要に前月比の数値が記載されていなかったことを示します。

上昇の要因

給油所の燃料価格

ONSによると、8月から9月にかけての前年比上昇率の変化に最も大きく寄与したのは運輸で、主に自動車燃料によるものです。運輸部門の前年比上昇率は4.6%から6.6%に上昇し、自動車燃料価格は8月の23.0%に続き、前年同月比29.8%の上昇となりました。統計局は9月のガソリン平均価格を1リットル当たり169.5ペンス、軽油を192.5ペンスとしており、それぞれ2022年8月、2022年7月以来の高水準です。運輸だけで、CPI上昇率3.5%のうち0.94ポイントを占めました。

実は、運輸部門全体の価格は9月中に0.4%下落しました。それでも前年比上昇率が高まったのは、下落幅が前年の同時期より小さかったためです。航空運賃にも同じ効果が見られます。8月から9月にかけて19.5%下落しましたが、これは夏のピーク後の通常の季節的な下落であり、2025年の同時期の28.8%の下落を大きく下回りました。ONSは、この押し上げ効果は主に欧州路線によるものだとしています。

家庭用エネルギーと住居費

CPIの住居・家庭サービス部門は4.9%から5.3%に上昇しました。CPIHの内訳では、主にガス網につながっていない住宅で使われる暖房用燃料の灯油が前年比22.7%上昇したとONSは報告しています。電気・ガス・その他燃料のCPIHへの寄与度は0.19ポイントで、2025年9月以来の大きさとなりました。CPIHにのみ含まれる持ち家の住居費は、3.9%から4.0%に上昇しました。

財・サービスともに上昇

上昇はエネルギーにとどまりませんでした。財のインフレ率は2.7%から3.2%に、サービスのインフレ率は3.4%から3.7%に上昇しました。エネルギー、食品、酒類、たばこを除くコアCPIは2.6%から2.8%に上昇しました。娯楽・文化も押し上げ要因となり、前年比上昇率は1.6%から2.3%に高まりました。ONSはコンピューターゲームのダウンロードとライブ音楽を挙げ、パッケージ旅行、文化イベント、一部の電子機器の影響は比較的小さかったとしています。

食品は安定、宿泊・飲食は減速

食品・非アルコール飲料の価格は前年比1.3%上昇と8月と同じ伸びで、前月比では0.2%下落しました。ONSによると、食品のCPIHへの寄与度は2021年9月以来の小ささでした。レストラン・ホテルが最大の押し下げ要因となり、同部門の上昇率は4.1%から3.8%に鈍化しました。ホテル価格は前月比2.3%上昇しましたが、前年同時期は3.8%の上昇でした。

ONSの統計公報は、食品飲料連盟(Food and Drink Federation)が食品インフレについて「遅れて到来し、より長く続く」と見込んでいることにも触れています。イングランド銀行も9月に同様の見方を示しました。エネルギーショックがサプライチェーン、特に食品に与える間接的な影響はこれまでのところ小さいものの、「回避されたというより先送りされた」可能性があると述べています。

イングランド銀行の金利見通し

2026年9月16日に終了した前回会合で、イングランド銀行の金融政策委員会(MPC)は6対3の賛成多数で政策金利(Bank Rate)を3.75%に据え置きました。アンドリュー・ベイリー、サラ・ブリーデン、スワティ・ディングラ、クレア・ロンバルデリ、デイブ・ラムズデン、アラン・テイラーの各委員が据え置きに賛成しました。ミーガン・グリーン、キャサリン・L・マン、ヒュー・ピルの各委員は0.25ポイント引き上げて4%とすることを主張しました。

9月の要旨で、同行はCPI上昇率が今後も上昇を続ける可能性が高いとしました。2026年第4四半期には約3¾%、2027年第1四半期には4%をわずかに上回ると予想しています。また、8月に2%の目標を1.1ポイント上回った分のうち、約0.7ポイントはエネルギー、主に自動車燃料による直接的な影響だと推計しました。委員会は見通しのリスクが7月時点よりも上方に偏っていると判断し、Ofgem(英ガス・電力市場規制局)のエネルギー価格上限が2027年初めに再び大幅に引き上げられる見込みだと指摘しました。同行は「金融政策は、インフレ率が持続的に2%へ低下するよう設定されている」と述べています。

9月の3.5%という数値は、同行が示した上昇基調と整合的です。ただし、この数値だけでは、インフレ率が同行の四半期見通しを上回っているのか下回っているのかはわかりません。次回のMPCの決定は、11月の金融政策報告(Monetary Policy Report)とともに2026年11月5日に発表される予定です。

予算案と政府借入

インフレ統計は、ONSの公的部門財政統計と同じ朝に公表されました。これは、ジョン・ヒーリー財務相が10月28日(水)に予算案を発表する前の最後の主要な公式統計です。同日には予算責任局(OBR)も最新の経済・財政見通しを公表します。

ONSによると、2026年9月の公的部門純借入額は245億ポンドでした。これは前年同月より18億ポンド多く、OBRの見通しを19億ポンド上回りました。9月までの年度累計の借入額は978億ポンドで、2025年の同期間より44億ポンド少ないものの、OBRの見通しを60億ポンド上回りました。9月の中央政府の債務利払いは109億ポンドで、そのうち40億ポンドは物価連動国債(インデックス・リンク・ギルト)のインフレ調整分を反映したものです。これは主に、6月から7月にかけての小売物価指数(RPI)の0.6%上昇に関連しています。

ここにインフレと予算をめぐる議論のつながりがあります。インフレ率が高まると物価連動債務の利払い費用が増え、OBRの歳出・税収見通しにも影響し得ます。財務省は、予算案が政府の財政ルールを満たすとしています。エネルギー主導の最近のインフレ上昇をOBRの新たな見通しがどう扱うかは、10月28日まで明らかになりません。

まだわからないこと

  • 燃料の影響がどれだけ続くか。前年比上昇率は、今後の燃料価格と、それが前年の水準と比べてどうなるかに左右されます。イングランド銀行は、中東情勢によって見通しが大きく変わり得るとしています。
  • 二次的影響。エネルギーコストの上昇は、時間差を伴って食品やサービスの価格に波及する可能性がまだあります。9月の統計では、食品インフレは安定している一方、コアとサービスのインフレ率は高まっています。
  • MPCの反応。9月の時点ですでに3人の委員が利上げを主張しました。委員会全体の判断が明らかになるのは11月5日です。
  • 財政の全体像。借入額はOBRの以前の見通しを上回っています。それが増税や歳出の変更につながるかどうかは、予算案の発表まで明らかになりません。

影響と意味

家計にとって、9月の統計は物価が8月より速いペースで上昇していることを意味し、その主因は燃料です。ただし、食品価格は比較的安定しています。イングランド銀行にとっては、総合指数の上昇に加えてコアとサービスのインフレ率が高まったことで、9月に利上げを主張した3人の委員の論拠が強まります。これまで多数派は据え置きを選んでおり、同行自身の見通しもインフレ率が2027年初めまで上昇を続けることを前提としていました。財務省にとっては、借入が見通しを上回る中でインフレ率の上昇が債務利払い費を押し上げることになり、予算案発表の1週間前という時期に重なります。今後注目すべきは、11月5日のイングランド銀行の決定と、ONSが2026年11月18日に予定している10月分CPIの公表です。

よくある質問

2026年9月の英国のインフレ率は何%でしたか?

英国家統計局(ONS)によると、2026年9月までの12か月間の消費者物価指数(CPI)上昇率は3.5%で、8月の3.1%から上昇しました。より広範なCPIHは3.3%から3.6%に上昇しました。

2026年9月に英国のインフレ率が上昇したのはなぜですか?

最大の押し上げ要因は運輸で、主に自動車燃料です。燃料価格は前年同月比29.8%上昇しました。財、サービス、コアのインフレ率も上昇した一方、レストラン・ホテルが最大の押し下げ要因となりました。

イングランド銀行の次回の金利決定はいつですか?

金融政策委員会(MPC)の次回決定は2026年11月5日の予定です。9月には6対3の賛成多数で政策金利(Bank Rate)を3.75%に据え置き、3人の委員が4%への引き上げを主張しました。

英国の次回のインフレ統計はいつ発表されますか?

ONSは2026年10月分の消費者物価統計を2026年11月18日に公表する予定です。

出典

この記事は情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。

ECONMore in Economy

See all

Latest elsewhereDate · Title · Reading time

  1. 日経平均は0.34%安の62,693円、AI株売りは後場に一服(10月23日)

    メタとテスラの決算でAI投資への懸念が再燃し、日経平均は一時1,445円安まで下落した後、0.34%安で取引を終えました。TOPIXは0.79%下落し、10年物国債利回りは2.795%に低下しました。

    MKT · 10 MIN
  2. 日本株デイリー(2026年10月22日):半導体株安で日経平均2.7%下落

    ラムリサーチの決算を受けて半導体の主力株が急落し、日経平均株価は7月以来初めて63,000円を下回って取引を終えました。TOPIXは1.14%下落し、来週の米FOMCと日銀金融政策決定会合を前に円は強含み、国債利回りは低下しました。

    MKT · 9 MIN
  3. JAXAの火星衛星探査計画MMXとは?日程・ローバー・目的をわかりやすく解説

    日本の探査機MMXが種子島からH3ロケットで打ち上げられ、火星へ向かっています。フォボスへの着陸、少なくとも10グラムの土壌の採取、2031年の地球帰還の計画と、火星の衛星の起源について何がわかる可能性があるのかを解説します。

    SCI · 10 MIN
  4. 仏10年債利回りが5%到達:10月上旬から何が変わったのか

    フランスの指標10年物国債利回りは10月21日に5.002%を付け、24年ぶりの高水準となりました。ドイツ国債利回りはほとんど動いておらず、今回の上昇は2027年予算案、抗議デモ、迫るムーディーズの格付け見直しを背景としたフランス固有のプレミアムを反映しています。

    FIN · 9 MIN