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豪中銀ハウザー副総裁、インフレ見通し悪化 11月利上げは未定
アンドリュー・ハウザー副総裁は、見通しがRBAの8月時点の予測より「大幅に悪化」しており、その一因は原油価格だと述べました。ただし、同行は11月2〜3日の会合を前に、予測をまだ最終調整している段階です。
要点
- オーストラリア準備銀行(RBA)のアンドリュー・ハウザー副総裁は2026年10月21日、インフレ見通しが同行の8月時点の予測より「大幅に悪化」しているように見えると述べました。
- 同氏は11月に金融政策委員会が何を決定するかについては言及せず、スタッフが新しい四半期予測を「まだ最終調整している」と述べました。
- 原油高が中心的な要因です。ハウザー氏によると、原油価格は8月の予測で想定した水準をおよそ3分の1上回っています。
- ロイターおよびABCニュースが引用したブルームバーグのデータによると、11月2〜3日の会合で25ベーシスポイント引き上げて4.85%とする確率の市場織り込みは、約50%に急上昇しました。
- 次の重要な材料は、来週予定されているオーストラリア統計局(ABS)による9月のCPI公表です。その後、11月3日に委員会の決定と新しい金融政策報告(Statement on Monetary Policy)が発表されます。
ハウザー氏の発言内容
豪中銀で2番目に高い地位にあるアンドリュー・ハウザー氏は、10月21日(水)にシドニーで開かれたシティの「Australia & New Zealand Investment Conference」での対談形式のセッション(ファイヤーサイドチャット)に登壇しました。RBAはこのセッションの書き起こしをウェブサイトで公表しています。
同氏の中心的なメッセージは、同行が前回予測を公表して以降、インフレ情勢が悪化したというものでした。RBAの書き起こしによると、同氏は「インフレ見通しは、8月の報告書で予測したものより大幅に悪化しているように見える」と述べました。同氏はこの判断を、同行が年初に指摘していた3つの上振れリスクと結び付け、それらが現在ほぼ現実のものになったと説明しました。すなわち、中東での危機の長期化、人工知能(AI)に関連する強い需要、そして国内の供給能力の弱さです。
エネルギーについてハウザー氏は、原油価格が8月に同行が想定した水準よりおよそ3分の1高く、その上昇分の消費者物価への波及はほとんど始まったばかりだと述べました。ロイターによると、当時ブレント原油は1バレル=110米ドルを上回って取引されており、3週間前に委員会が前回会合を開いた時点の約102米ドルから上昇していました。
市場にとって重要なのは、ハウザー氏が決定を事前に示さなかったことです。同氏は会合の約1週間半前の時点で同行がまだ予測を最終調整中だと述べ、ロイターは同氏が来月に再び利上げが必要かどうか確信を持っていないと報じました。ロイターによると、同氏は委員会の立場を、インフレ抑制のためにさらに踏み込むか、労働市場への打撃を抑えるために控えるかの選択だと説明し、「難しい選択」の世界だと表現しました。
インフレ期待
ハウザー氏はインフレ期待を特に重視しました。同氏はRBA独自の企業ヒアリング(ビジネス・リエゾン)や調査を挙げ、一部の企業が今や3〜3.5%のインフレを通常の水準とみなしていることを示唆していると指摘しました。これは同行の目標レンジである2〜3%を上回ります。RBAの書き起こしによると、同氏は「期待が目標から離れていくことを許すわけにはいかない」と述べました。ABCニュースは、同氏が期待の目標からの乖離を「中央銀行家にとっての悪夢」の領域と表現したと報じました。
同氏はまた、金融政策は原油高のような供給ショックを直接相殺することはできないものの、そのショックがより広範な価格設定や賃金の動きに波及するのを防がなければならないと主張しました。ABCニュースによると、同氏は、より長く深刻な事態を避けるため、同行が短期的な痛みをある程度受け入れていると述べました。
労働市場
今回の発言は、9月の失業率が4.7%に上昇したことを示すデータの数日後に行われました。ロイターとABCはこれを5年ぶりの高水準と伝えています。ハウザー氏は、この数字が予想よりやや弱かったと述べ、オーストラリア統計局の労働力調査の変更により「この数字にはいくらかノイズがある」可能性があると指摘しました。また、労働市場は緩和しつつあるものの、オーストラリアの失業率は他のG20諸国と比べて依然として低いと付け加えました。
RBAの直近の声明との関係
RBAの金融政策委員会は9月29日の会合で、全会一致でキャッシュレートの誘導目標を25ベーシスポイント引き上げ、4.60%としました。声明は、インフレが「依然として高すぎる」こと、最近の結果が予想より強かったこと、短期のインフレ期待が引き続き高止まりしていることを指摘しました。また、燃料価格の上昇がほかの財やサービスに波及していることや、供給能力の逼迫を挙げ、世界のエネルギー価格が8月に用いた前提を大きく上回っていると述べました。
9月の声明はさらに、委員会がインフレを持続的に目標へ戻すために必要なことを行うとし、「必要であればキャッシュレートの誘導目標をさらに引き上げることも含む」と明記しました。リスクについては、インフレが予想より高く、景気が予想より弱くなる可能性があるという、居心地の悪い形での双方向のリスクだと説明しました。水曜日のハウザー氏の発言は、このバランスのうちインフレ側がさらに悪い方向に動き、労働市場はやや速いペースで軟化したことを示唆しています。
ハウザー氏は、新しい予測の背景にある技術的な変更も1つ明らかにしました。同行は、非農業部門の基調的な生産性上昇率の前提を年1%から0.7%に引き下げました。生産性の前提が低いということは、インフレを押し上げずに経済が成長できる余地が小さいことを意味します。
判断材料となるデータ
| 指標 | 最新値 | 期間・時点 | 出典 |
|---|---|---|---|
| RBAキャッシュレート誘導目標 | 4.60% | 2026年9月29日決定 | RBAメディアリリース 2026-27 |
| RBAインフレ目標 | 2〜3%(長期的な平均として) | 常設 | RBA |
| 総合CPI(前年比) | 4.0% | 2026年8月までの1年間(9月30日公表) | ABS |
| トリム平均CPI(前年比) | 3.6% | 2026年8月までの1年間 | ABS |
| 失業率 | 4.7% | 2026年9月 | ABS(ロイターおよびABCニュースの報道による) |
| 11月に4.85%へ利上げされる市場織り込み確率 | 約50〜51% | 2026年10月21日 03:59 UTC時点 | ロイター、ABCニュースが引用したブルームバーグのデータ |
| ブレント原油 | 1バレル=110米ドル超 | 2026年10月21日 03:59 UTC時点 | ロイター |
市場が織り込む確率は急速に変化し、翌日物金利スワップ(OIS)の価格から算出されるもので、RBAによる予測ではありません。ロイターによると、この確率は週初めには約30%でした。一方、ABCニュースは、前週には弱い雇用統計を受けて20%を下回っていたと伝えました。
11月会合で検討される材料
委員会は11月2〜3日に会合を開き、11月3日に決定を発表します。同時に、同行の最新の四半期予測を盛り込んだ11月の金融政策報告も公表されます。主な材料は次のとおりです。
- 9月のCPIデータ:オーストラリア統計局は来週10月28日に9月のインフレ統計を公表する予定で、RBAが注視する9月四半期のトリム平均も含まれます。ハウザー氏は、四半期のトリム平均が8月の想定を上回る可能性が高いと述べました。ロイターは、同四半期の総合インフレ率が約4.0%に達する可能性があり、コアインフレ率は3.5%前後と予想されていると報じました。
- 新しい予測:原油価格と生産性に関する修正後の前提は、委員会が検討するインフレと成長の予測に直接反映されます。
- 労働市場:失業率の4.7%への上昇は景気の軟化を示しており、慎重姿勢を支持する材料です。委員会は、そのうちどこまでが実態を示すシグナルで、どこまでが調査上のノイズなのかを見極める必要があります。
- 住宅と家計支出:9月の声明は、大半の州都で住宅価格が下落し、新規の住宅融資が目に見えて減少したと指摘しました。ロイターは、住宅価格が政策当局者の予想より速いペースで下落していると報じました。
- 期待:ハウザー氏がこの点を強調していることから、企業や家計がより高いインフレを前提に行動している証拠があれば、大きく重視されるとみられます。
民間エコノミストの見方は分かれています。ロイターによると、ゴールドマン・サックスは、四半期CPIが下振れしない限り、11月の利上げの可能性のほうが高いとみています。ABCニュースによると、UBSのチーフエコノミストであるジョージ・タレヌー氏は今回の発言をタカ派的と評価して11月の利上げを予想し、委員会で票が割れる可能性にも言及しました。
影響と意味
ハウザー氏の発言はRBAに何かを約束するものではなく、同氏も予測がまだ完成していないことを明言しました。ただし、同行の対外的な問題設定を変えるものではあります。論点はもはや、弱まる労働市場が利上げ見送りを正当化するかどうかだけではありません。エネルギーと供給能力の制約によって悪化したインフレ見通しのもとで、利上げを見送ることが期待にとってリスクになるかどうかも問われています。
家計にとっての実際的な影響は、短期的な借入コストをめぐる不透明感が続くことです。市場にとっては、水曜日の織り込みの変化が、データが拮抗している局面で当局者の発言に期待がいかに敏感に反応するかを示しました。来週の9月のCPI公表は、委員会の会合前で最も重要なデータとなる可能性が高いです。まだ分かっていないのは、上昇する失業率と、同行自身が8月の予測より高くなると今や見込んでいるインフレとを、委員会がどのように比較衡量するかです。
エネルギー主導のインフレ問題に直面しているのはオーストラリアだけではなく、原油価格が高止まりするなか、他国の中央銀行も同様のトレードオフを検討しています。それでも、11月3日のRBAの決定は、供給要因によるインフレと労働市場の軟化が同時に訪れたとき、中央銀行がどう対応するかを示す、より明確な試金石の1つとなるでしょう。
よくある質問
ハウザー副総裁はインフレについて何と述べましたか?
2026年10月21日にシドニーで開かれたシティの会議で、RBA副総裁はインフレ見通しが8月の報告書での予測より大幅に悪化しているように見えると述べ、その理由として原油高、AI関連の需要、国内供給力の弱さを挙げました。
RBAは11月に利上げすると表明しましたか?
いいえ。ハウザー氏は同行がまだ予測を最終調整中だと述べ、ロイターは同氏が再利上げの必要性について確信を持っていないと報じました。金融政策委員会は11月2〜3日に会合を開き、11月3日に決定を発表します。
現在のRBAの政策金利(キャッシュレート)は?
2026年9月29日の会合で25ベーシスポイント引き上げられた結果、キャッシュレートの誘導目標は4.60%です。
オーストラリアの最新のインフレ率は?
オーストラリア統計局(ABS)によると、2026年8月までの1年間で総合CPIは4.0%上昇し、トリム平均は3.6%でした。RBAの目標は2〜3%です。
11月の決定の前にどのようなデータが出ますか?
ABSは2026年10月28日に、9月四半期のトリム平均を含む9月のCPIデータを公表する予定です。RBAも11月の金融政策報告(Statement on Monetary Policy)で最新の予測を公表します。
出典
- Reserve Bank of Australia: Fireside chat by Andrew Hauser, Deputy Governor, at Citi's Australia & New Zealand Investment Conference(2026年10月21日)
- Reserve Bank of Australia: Statement by the Monetary Policy Board, Monetary Policy Decision(2026年9月29日)
- Australian Bureau of Statistics: CPI rose 4.0% in the year to August 2026
- Australian Bureau of Statistics: Consumer Price Index, Australia, August 2026
- Reuters(AOL経由): Australian central banker says inflation outlook worse, unsure about November rate hike
- ABC News: RBA deputy warns inflation outlook 'materially worse' ahead of November meeting
- Investing.com: RBA November rate hike bets surge to over 50% after Hauser warning on inflation
この記事は情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。
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