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ハンガリー中銀のマトルチ元総裁を拘束、中銀系財団をめぐる捜査で
ハンガリーの検察当局は2026年10月21日、中央銀行の財団に関連する詐欺事件の捜査で、マトルチ・ジェルジ元中銀総裁の身柄を拘束しました。事件の発端は2025年の会計検査です。マトルチ氏は不正を否定しています。
要点
- 2013年から2025年までハンガリー国立銀行(MNB)の総裁を務めたマトルチ・ジェルジ氏が、2026年10月21日朝に身柄を拘束され、中央捜査検察庁に連行されました。テレックスとロイターが同氏の弁護人の話として報じました。
- 弁護人によると、マトルチ氏は多額の財産的損害を生じさせた経済詐欺と、偽造私文書行使の疑いを持たれています。これらの疑いについて裁判所は判断しておらず、マトルチ氏は不正を否定しています。
- 検察は、いわゆる「MNB事件」をめぐり、複数の場所で「連携した捜査活動」を行っていると説明しました。同事件は、特に多額の損害を生じさせた資金の不正管理の疑いに関するものです。
- この事件は、国家会計検査院が2025年3月に公表した報告書と刑事告発に端を発しています。対象は中銀のパラス・アテネ財団群で、2014年にMNBから2,664億フォリントの拠出を受けました。
- 取り調べのための身柄拘束は、公判前の勾留とは異なります。勾留は、検察が請求した場合に限り裁判所が判断します。
現時点で確認されていること
マトルチ氏は2026年10月21日(水)の早朝、中央捜査検察庁に連行されました。弁護人のバートキ・パール氏が、ハンガリーのニュースサイト「テレックス」に拘束を認めました。ロイター、ユーロニュース、デイリー・ニュース・ハンガリーも同日朝のうちにこれを報じました。
バートキ氏によると、依頼人であるマトルチ氏は多額の財産的損害を生じさせた経済詐欺の疑いに加え、より軽い罪である偽造私文書行使の疑いを持たれています。第一報の時点では正式な取り調べは始まっておらず、同日中に行われる見通しでした。ロイターは、弁護人から追加のコメントは得られなかったと伝えています。
検察が明らかにした詳細はわずかです。検察は、特に多額の財産的損害を生じさせた資金の不正管理をめぐる進行中の捜査で、連携した捜査活動を行っていると述べました。さらに、この活動はMNB事件に関連しており、複数の場所で行われていると付け加えました。ユーロニュースによると、検察は夜に追加情報を公表する予定でした。
デイリー・ニュース・ハンガリーはテレックスを引用し、ほかにも複数の人物が拘束されたと報じました。その中には、ギリシャのミコノス島にある別荘の改修に関わった弁護士と実業家が含まれるとされています。報道では、この別荘はマトルチ氏の息子アーダーム氏と結び付けられています。検察はほかの拘束者の氏名を公表しておらず、Bullquillも本記事では氏名を記載しません。
拘束は起訴ではない
ハンガリーの刑事手続きでは、取り調べのための身柄拘束は短期間の措置です。有罪判決ではなく、公判前の勾留とも異なります。ユーロニュースの説明によると、勾留について裁判所が判断するのは、マトルチ氏が正式に被疑者とされ、検察が勾留を請求した場合に限られます。本記事の執筆時点では、取り調べ後に同氏が釈放されるかどうかを示す公開情報はありません。弁護人が説明した容疑は捜査中の疑いであり、有罪の認定ではありません。
事件の発端:2025年の会計検査と刑事告発
捜査の起点は、マトルチ氏の1期目の初期にあたる2014年にMNBが設立した財団にさかのぼります。テレックスによると、同年、中銀は2,664億フォリントを6つのパラス・アテネ財団に拠出し、これらの財団は後にパラス・アテネ・ドムス・メリティ(PADME)財団に統合されました。PADMEは資産運用会社オプティマ・インベストメントを設立し、同社は約5,000億フォリントの資産を管理するようになりました。
2025年3月、国家会計検査院(Állami Számvevőszék、ÁSZ)は、これらの資産の運用状況に関する報告書を公表しました。テレックスとインサイト・ハンガリーによると、検査官は不透明な投資構造、深刻な管理上の不備、そして多額の損失を生んだ意思決定を指摘しました。同院は複数の犯罪の疑いがあるとして刑事告発を行いました。その後、ハンガリー国家警察本部は、背任(信任違反)の疑いで捜査を開始したことを認めました。
会計検査は、ノイマン・ヤーノシュ大学を運営する財団も対象としました。同財団は2020年に国から444億フォリント、2021年に1,000億フォリントを受け取りました。ÁSZによると、その資金の多くが財団の規則と法律に反してオプティマの債券に投資され、利益相反とかなりの損失が生じました。テレックスは、PADMEがMBH銀行から1億7,000万ユーロの融資を受けていたことも報じています。テレックスと調査報道メディア「ディレクト36」の報道によると、財団の資金の多くは、アーダーム・マトルチ氏に近い経済人脈と関係のある海外の不動産会社に流れました。
事件の主な数字
| 項目 | 数値 | 時期 | 出典 |
|---|---|---|---|
| MNBからパラス・アテネ財団群への拠出 | 2,664億フォリント | 2014年 | テレックス(国家会計検査院の報告書) |
| オプティマ・インベストメントが管理する資産 | 約5,000億フォリント | 2025年3月の報道時点 | テレックス、ユーロニュース |
| ノイマン・ヤーノシュ大学の財団への国の資金拠出 | 444億フォリントと1,000億フォリント | 2020年と2021年 | テレックス |
| MBH銀行からPADMEへの融資 | 1億7,000万ユーロ | 2025年3月の報道時点 | テレックス |
| 当局が押収した現金と有価証券 | 918億フォリント | 2026年5月 | ユーロニュース、ロイター(約920億フォリント) |
| 財団が保有するポーランドの不動産開発会社GTCの株式 | 62.6% | 2020年に取得 | マトルチ氏の公開書簡(Xpatloop経由) |
上記の数字は、掲載した各メディアが報じた会計検査の指摘、当局による押収、当事者自身の発言に基づくものです。裁判所の認定ではありません。実際の損失の規模については争いがあります。
2026年に事件はどう拡大したか
2026年4月、ペーテル・マジャル氏率いるティサ党が総選挙でオルバン・ビクトル氏のフィデスに勝利し、政治情勢は大きく変わりました。マトルチ氏は長年にわたりオルバン氏の盟友でした。ロイターによると、マジャル氏は中央銀行の過去の運営を調査すべきだと述べており、ユーロニュースによると、議会は2026年5月26日に調査委員会を設置しました。
以下に引用する報道によると、その後、次のような動きがありました。
- 2026年4月:検事総長室がMNB関連の事件を警察から引き継ぎました(Xpatloop)。
- 2026年5月:検察と警察が、関連するマネーロンダリング捜査で918億フォリント相当の現金と有価証券を押収しました(ユーロニュース。ロイターは約920億フォリント、約3億ドルと報道)。
- 2026年9月:マトルチ氏は、エルステ・バンク・ハンガリーへの圧力をめぐる職権乱用の疑いに関する別の事件で、被疑者として取り調べを受けました。同氏は疑いを否定し、帰宅を認められました(ユーロニュース)。
- 2026年9月:MNBの現経営陣は、同行が所有する5つの不動産の価値下落をめぐり、独自に刑事告発を行いました。バルガ・ミハーイ総裁は、中銀の過去の運営に関する文書3万ページを追加で議会の委員会に提出したと述べました(デイリー・ニュース・ハンガリー)。
- 2026年10月:水曜日の拘束に先立ち、委員会はフィデスの元議員らから財団について聴取しました。
ユーロニュースによると、捜査当局はMNB本店の改修に関連する背任の疑いについても調べています。
マトルチ氏の主張
マトルチ氏は一貫して疑惑を否定しています。テレックスによると、同氏は会計検査に対する最初の反論となった2025年3月31日、ニュースサイト「インデックス」に対し、検査官が「損害を生じさせた」という用語の使い方で「考えられない誤り」を犯したと述べました。同氏は、財団の資産は毀損されておらず、5,000億フォリント超の価値があると主張しました。また、ポーランドの不動産会社GTCを株価だけで評価するのは専門的ではないとも主張しました。これに対し会計検査院は、ハンガリーの法律では上場株式の保有分を時価で評価することが義務付けられていると反論しました。
2026年4月に公表した公開書簡で、マトルチ氏は自身に対する疑惑を根拠がないと述べました。同氏は、財団は独立して運営されており、中央銀行のバランスシートには計上されておらず、中銀には財団の運営に介入する法的権限がなかったと主張しました。また、損失額の数字は実現損と含み損を区別しておらず、GTC株は2020年に長期保有目的で購入したものだと述べました。さらに、2013年から2025年までのMNBの業務について、透明性のある検証には協力すると表明したと、Xpatloopは報じています。10月21日の第一報の時点で、マトルチ氏から新たな声明は出ていません。
影響と意味
中央銀行のガバナンスという観点では、この事件は、中央銀行が利益の大きな部分を、自らのバランスシートの外にあり通常の公的予算の統制も受けない財団に移すというモデルの是非を問うものです。このモデルの支持者は、資金はいったん拠出されれば公的資金ではなくなると主張していました。ハンガリーの会計検査院は逆の立場をとりました。裁判所がどのような判断を下すにせよ、この事件は、この地域の中央銀行が金融政策と、教育・不動産・投資へのオフバランスの支出をどれだけ厳格に切り分けるかに影響を与える可能性があります。
ハンガリーの制度的な信頼性という観点では、今回の拘束には二つの側面があります。捜査を支持する人々は、新政権と検察が、強力な独立機関の元トップであっても追及する姿勢を示したものだと評価しています。一方、テレックスによると、旧与党フィデスは10月、無関係の事件で検察がマジャル氏本人を取り調べた後、ティサ政権が同党の言う「専制的な体制」を築いていると非難しました。どちらの主張が妥当かは、検察が法廷で証拠を示すか、弁護側がそれを検証できるか、そして手続きが独立したものと受け止められるかという、今後の審理の進み方によって判断されることになります。
MNBの現在の金融政策は、この事件の直接の対象ではありません。バルガ・ミハーイ総裁の下、中銀の経営陣は捜査に協力し、独自に刑事告発も行っています。ハンガリーを注視する投資家や格付け会社にとって、主な論点は日々の政策ではなく、ガバナンスと透明性です。拘束者の全容、検察が勾留を請求するかどうか、そして疑いを裏付ける証拠が何かなど、いくつかの点はまだ明らかになっていません。
よくある質問
マトルチ・ジェルジ氏はなぜ拘束されたのですか?
弁護人によると、マトルチ氏は多額の財産的損害を生じさせた経済詐欺と、偽造私文書行使の疑いを持たれています。検察は、今回の措置は中央銀行の財団をめぐる捜査の一環だと説明しました。これらは捜査中の疑いであり、裁判所の認定ではありません。
マトルチ氏は起訴または勾留されたのですか?
2026年10月21日の第一報の時点では、いずれもされていません。取り調べのための身柄拘束は、公判前の勾留とは異なります。勾留は、検察が請求した場合に限り裁判所が判断します。
中銀(MNB)の財団とは何ですか?
ハンガリー国立銀行は2014年、2,664億フォリントをパラス・アテネ財団群に拠出しました。これらの財団は後にPADME財団に統合されました。その資産運用会社オプティマ・インベストメントは、約5,000億フォリントの資産を管理するようになりました。
捜査はどのように始まったのですか?
2025年3月、国家会計検査院が財団の資産運用に関する報告書を公表し、刑事告発を行いました。これを受けてハンガリー警察が背任の疑いで捜査を開始し、その後、検察が捜査を引き継ぎました。
マトルチ氏は何と述べていますか?
マトルチ氏は不正を否定しています。財団は中央銀行から独立して運営されていた、資産は毀損されていない、会計検査の評価方法は誤っている、と主張しています。
出典
- Reuters via AOL: Former Hungarian central bank chief Matolcsy detained in foundations probe(2026年10月21日)
- Euronews: Former Hungarian central bank chief György Matolcsy detained in financial fraud probe(2026年10月21日)
- Daily News Hungary: Former Hungarian central bank governor Matolcsy detained(2026年10月21日)
- Telex: Hungarian National Bank foundation investigated for malfeasance(2025年3月26日)
- Telex: Former national bank governor reacts to State Audit Office report for first time(2025年3月31日)
- Insight Hungary (444): Hungarian National Bank foundations under investigation(2025年3月28日)
- Telex: Hungarian PM questioned in connection with allegations of cell phone theft(2026年10月8日)
- Xpatloop: Former governor breaks silence on central bank controversy in Hungary(2026年4月)
この記事は情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。
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