VOL. 1NO. ----Sat24.10.26EDITION--:--

LOADING · TRADINGVIEW

WRLDWorldExplainer NO. ---

インドネシア抗議デモ、プラボウォ政権2年 煙害・生活費・5つの要求

プラボウォ・スビアント大統領の就任2年にあたる2026年10月20日、学生らがジャカルタなど各地で抗議デモを行い、森林火災の国家災害指定、公共サービスの負担軽減、汚職対策を求めました。

By Published 11 min read
Official 2024 portrait of Indonesian President Prabowo Subianto
Darwis Triadi & Ministry of State Secretariat / Wikimedia Commons / Public domain · Source

要点

  • プラボウォ・スビアント大統領の就任2年にあたる2026年10月20日(火)、学生や市民社会団体がジャカルタ、ジョグジャカルタ、バンドン、マカッサル、メダンなど各地で抗議デモを行いました。
  • 学生連合が公表した5つの主要要求は、森林火災と洪水の国家災害指定から、汚職対策、表現の自由の保護、教育・医療費の引き下げまで多岐にわたります。
  • 今回のデモは、スマトラ島とカリマンタン島の森林火災と有害な煙害(ヘイズ)、労働法、食料価格、無償給食プログラムをめぐって数週間続いてきた小規模な抗議の集大成となりました。
  • 政府は抗議する権利を尊重するとしたうえで、7,600億ルピアの火災対策、26兆3,400億ルピアの経済対策、2026年末まで燃料価格を据え置く方針を挙げています。
  • デモは市場が圧力にさらされるなかで起きました。MSCIが異例の格下げを提案したことを受け、ジャカルタ総合指数は10月16日、1998年初め以来の大幅下落を記録しました。

プラボウォ・スビアント氏がインドネシア大統領に就任してから2年、学生たちはその節目を街頭で迎えました。10月20日の抗議は2025年8月の暴動ほど大規模でも暴力的でもありませんでしたが、多くの都市に広がり、数カ月にわたり積み重なってきた複数の不満を結びつけました。深刻な森林火災シーズン、生活費の上昇、株式市場の低迷、そして市民的自由への懸念です。本稿では、何が起きたのか、デモ参加者は何を求めているのか、政府はどう対応したのか、今後何に注目すべきかを解説します。

背景:繰り返される抗議の1年

インドネシアでは2025年初めから抗議の波が続いています。アルジャジーラによると、2025年8月下旬には反政府デモが暴動に発展し、約10人が死亡、7,000人近くが逮捕されました。2026年6月には、ルピアが対ドルで過去最安値を付けるなか、学生らが燃料価格の引き上げ、無償栄養給食プログラムへの支出、文民領域で拡大する軍の役割を批判し、抗議が再燃しました。

アルジャジーラによると、2025年の暴動からちょうど1年後の2026年8月27日には、数千人がジャカルタの国会へ行進し、汚職へのより厳しい対応を求めました。中心的な要求は、2008年に初めて国会に提出された、汚職に関連する資産を国家が没収できるようにする法案でした。行進を主導した住民団体は、12月15日までに法案が可決されなければ辞職すると一部の議員が約束したと述べました。ジャカルタ警察の報道官によると、警察は1万8,500人を配備し、行進の前に「扇動者」とみられる65人を拘束しました。日没後には警察の詰め所が放火され、警察は催涙ガスと放水砲を使用しました。

今回の波には新たな要因があります。インドネシアは、エルニーニョによる干ばつで悪化した、ここ数年で最悪級の森林火災シーズンに直面しています。ストレーツ・タイムズによると、煙害はシンガポールとマレーシアにも広がり、マレーシアでは複数の州で学校が休校となりました。林業省によると、10月15日には東ジャワ州のブロモ・テンゲル・スメル国立公園で消火活動にあたっていた消防要員4人が死亡しました。

何が起きたのか:時系列

  • 10月5日:ストレーツ・タイムズによると、南スマトラ州パレンバンで数百人の学生が、火災の予防、消火資金の透明性、火災の責任があるとする企業への措置を求めました。ジャカルタでは学生団体が国家教育法案をめぐり国会前で抗議しました。
  • 10月8日:ジャンビで、デモ参加者が道路を封鎖し、政府庁舎の門を損壊しました。警察は放水砲で解散させました。
  • 10月13日:リアウ州知事庁舎前で数百人の学生が集会を開きました。国営アンタラ通信によると、パレンバンでは州警察本部前で別のグループと衝突して抗議が暴力化し、記者2人、学生2人、警察官1人が負傷しました。
  • 10月15日:中カリマンタン州で、15の村の代表とボランティア消防隊が、火災の国家災害指定と、空中消火用ヘリコプターの派遣を求めました。パレンバンでは数百人の記者が、同僚への襲撃に抗議しました。
  • 10月16日:MSCIがインドネシアを新興国市場から「スタンドアロン」市場へ移す案を示したことを受け、ジャカルタ総合指数が11%超下落し、1998年初め以来の大幅な下げとなりました。
  • 10月20日:朝の通勤ラッシュ時、グリーンピース・インドネシアの活動家がホテル・インドネシア・ロータリーの歓迎の像(セラマット・ダタン記念碑)に横断幕を掲げ、警察と消防が午前8時ごろに撤去しました。その後、学生らは独立宣言記念塔で象徴的な行動を行い、ジャカルタ中心部のタニ像(トゥグ・タニ)でより大規模な集会を開きました。インドネシア語版ウィキペディアがまとめた地元報道によると、同日、ジョグジャカルタ、バンドン、マカッサル、メダン、プカンバル、パランカラヤ、ポンティアナック、バンダアチェでも集会が行われました。

抗議の規模は

全国の参加者数について公式な数字は公表されていません。ジャカルタ・ポストは、ジャカルタのタニ像に「複数の大学から数百人の学生」が集まったと伝えました。治安要員の配備規模からは、当局がこの日をどれほど重く見ていたかがうかがえます。

指標数値出典
ジャカルタに配備された合同治安要員(10月20日)9,505人ジャカルタ当局(バタム・ニュース・アジア報道)
バンドンに配備された警察官(10月20日)3,248人西ジャワ州警察(IDN Times経由、ウィキペディアが集約。独自確認はしていません)
8月27日のジャカルタでの行進に配備された警察官1万8,500人ジャカルタ警察(アルジャジーラ経由)
7州の火災対策予算7,600億ルピア政府広報庁(アンタラ通信経由)
2026年下半期の経済対策26兆3,400億ルピア政府広報庁(アンタラ通信経由)
全国のホットスポット数(10月15日午後9時)799(前回372)林業省SiPongiシステム(ストレーツ・タイムズ経由)

入手可能な報道によると、集会の大半は平和的でした。ウィキペディアが引用した地元メディアは、マカッサルでの警察と学生のもみ合い、アチェの州知事庁舎の門の破損、ポンティアナックでデモ参加者が身元不明の人物に殴られたことを報じています。10月20日の負傷者数や逮捕者数の公式な集計は確認できておらず、詳細は未確認のままです。

デモ参加者の要求

コンパスによると、ジャカルタの集会は学生と市民社会団体による連合「コミテ・サダル(Komite Sadar)」が主催し、ジャカルタ、バンドン、スマラン、ジョグジャカルタ、スラバヤ、マランの大学の学生自治会がそれぞれの都市で参加しました。5つの要求は次のとおりです。

  1. 森林火災と洪水を国家災害に指定し、公衆衛生を守り、責任のある企業を訴追して許可を取り消すこと。
  2. 経済政策の立案を立て直し、市場の信頼を回復すること。
  3. 表現の自由への制限をやめること。
  4. 汚職・癒着・縁故主義を根絶すること。
  5. 教育、医療、公共サービスの費用を引き下げ、利用をより公平にすること。

コンパスによると、タニ像に掲げられた主要な横断幕は、無償給食プログラムを含む複数の政府プログラムからの軍の撤退を求めていました。インドネシア大学の学生自治会は、抗議の焦点を森林火災、株式市場の売り、ルピア安に置くとし、これらを経済の脆弱さの表れだと述べました。これは学生側の評価であり、公式な結論ではありません。

ジャカルタ以外では、要求はより地域的なものでした。ウィキペディアがまとめた地元報道によると、マカッサルのデモ参加者は一部閣僚の辞任を求め、中カリマンタン州の学生は火災に加えて、燃料不足、停電、清潔な水の問題を訴えました。

政府の対応

政府の主な公式対応は、政府広報庁(Bakom)のシャガンダ・ナインゴラン長官によるものでした。アンタラ通信によると、同長官はグリーンピースの行動に対し、政府は抗議を表現の自由の一形態として尊重しており、大統領も気候危機と生活費への懸念を共有していると述べました。さらに、これらの課題への政府の取り組みは「まだ終わっていない」とし、グリーンピースにデータと提言を関係省庁へ提出するよう呼びかけました。

ナインゴラン長官は、すでに講じた措置として次の点を挙げました。プラボウォ大統領自らが陣頭指揮を執る7州での火災対策に7,600億ルピア、同長官が「生態系テロ」と表現した責任者に対する法執行の強化、3,324万人の受給者に米10キログラムを配布する措置を含む26兆3,400億ルピアの経済対策、備蓄米100万トンの追加放出、そして2026年末までの燃料価格据え置きです。

火災について、政府は国家災害を宣言していません。ストレーツ・タイムズによると、新たに任命された国家防災庁(BNPB)長官は10月15日、火災を国家レベルと地方レベルのどちらに分類すべきかを当局が評価すると述べ、迅速かつ効果的な対応が最優先だとしました。ラジャ・ジュリ・アントニ林業相は、中カリマンタン州で抗議が続くなか同州を訪問しました。

本稿公開時点で、10月20日の要求に対する国会(DPR)の正式な声明は確認できていません。ジャカルタ警察のブディ・ヘルマント報道官は抗議に先立ち、少なくとも2つの大学の学生が複数の場所に集まる見通しだと述べていました。

影響と意味

政治。参加者数は控えめだったものの、今回の抗議は不満が広がりつつあることを示唆しています。運動を代表して交渉できる単一の指導者や組織は、まだ現れていません。

市場。市場の売りはMSCIによる10月15日の提案を受けたもので、抗議が原因ではありません。しかし学生たちは、市場の低迷を政府の経済運営への批判に組み込んでいます。AFPによると指数は10月16日に11%超下落し、コンパスによるとデモ当日の10月20日には5.65%反発して5,278.89で取引を終えました。市場の背景については、インドネシアの資本フロー、MSCI、ルピアに関する分析をご覧ください。インドネシア銀行は10月21日に金利決定を発表する予定でした。

環境と健康。ジャワ島以外で抗議を長引かせる可能性が最も高いのは煙害です。災害指定がないまま1週間が過ぎるごとに、地元団体は結集の軸となる具体的な要求を得ることになります。

今後の展開

  • 火災シーズン:政府が火災を国家災害に格上げするかどうか、また雨で煙害が和らぐかどうかが、スマトラ島とカリマンタン島での抗議の行方を左右します。
  • 資産没収法案:8月27日の行進の主催者によると一部議員が辞職の約束と結びつけた12月15日が、反汚職運動にとって次の確定した節目です。
  • 市場:インドネシアに関するMSCIの意見募集は2027年4月30日まで行われ、2027年6月30日までに決定が示される予定です。
  • 警察の対応:記者団体は、パレンバンなどで起きた記者への襲撃について責任の明確化を求めています。

よくある質問

2026年10月、インドネシアで学生が抗議しているのはなぜですか?

10月20日の集会はプラボウォ・スビアント大統領の政権発足2年に合わせたものです。学生らは森林火災と煙害、生活費の上昇、株式市場の低迷とルピア安、汚職、表現の自由への制限を問題視しました。

デモ参加者の5つの要求は何ですか?

コンパスによると、森林火災と洪水を国家災害に指定し責任企業を訴追すること、経済政策を立て直し市場の信頼を回復すること、表現の自由への制限をやめること、汚職・癒着・縁故主義を根絶すること、教育・医療・公共サービスの費用を引き下げることです。

インドネシア政府はどう対応しましたか?

政府広報庁は、抗議を表現の自由として尊重するとし、7,600億ルピアの火災対策、26兆3,400億ルピアの経済対策、米の追加放出、2026年中の燃料価格据え置きを挙げました。火災の国家災害指定はまだ行っていません。

10月20日のデモは暴力的でしたか?

集会の大半は平和的だったとみられます。地元メディアはマカッサルでのもみ合いや、アチェとポンティアナックでの出来事を報じました。10月21日時点で、全国の負傷者数や逮捕者数の公式集計は公表されていません。

抗議はインドネシアの株価下落と関係がありますか?

直接の関係はありません。市場は10月15日にMSCIがインドネシアの分類変更を提案したことを受けて下落しましたが、学生らは売りとルピア安を経済運営の失敗の証拠として挙げました。

出典

WRLDMore in World

See all

Latest elsewhereDate · Title · Reading time

  1. 9月の全国コアCPIは2.1%上昇、日銀の物価目標2%を上回る

    耐久消費財や公共料金、サービスが物価を押し上げる一方、コメの値下がりと補助金によるエネルギー価格の抑制が総合指数の伸びを抑えました。日本銀行は10月30日に政策決定を控えています。

    ECON · 9 MIN
  2. 日経平均は0.34%安の62,693円、AI株売りは後場に一服(10月23日)

    メタとテスラの決算でAI投資への懸念が再燃し、日経平均は一時1,445円安まで下落した後、0.34%安で取引を終えました。TOPIXは0.79%下落し、10年物国債利回りは2.795%に低下しました。

    MKT · 10 MIN
  3. 日本株デイリー(2026年10月22日):半導体株安で日経平均2.7%下落

    ラムリサーチの決算を受けて半導体の主力株が急落し、日経平均株価は7月以来初めて63,000円を下回って取引を終えました。TOPIXは1.14%下落し、来週の米FOMCと日銀金融政策決定会合を前に円は強含み、国債利回りは低下しました。

    MKT · 9 MIN
  4. JAXAの火星衛星探査計画MMXとは?日程・ローバー・目的をわかりやすく解説

    日本の探査機MMXが種子島からH3ロケットで打ち上げられ、火星へ向かっています。フォボスへの着陸、少なくとも10グラムの土壌の採取、2031年の地球帰還の計画と、火星の衛星の起源について何がわかる可能性があるのかを解説します。

    SCI · 10 MIN