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ベルギーのストライキとデウェーフェル首相の予算対立を解説
ブリュッセルで数万人が行進し、ストライキで公共サービスが打撃を受けるなか、バルト・デウェーフェル首相の連立政権は予算の期限を守れませんでした。検討中の案、労組の要求、今後の注目点をまとめます。
要点
- ベルギー最大の2つの労働組合は2026年10月9日(金)、全国ストライキとブリュッセルでのデモ行進を実施し、10月12日(月)には2日目の全国ストを行いました。次期連邦予算に盛り込まれる緊縮策に反対するものです。
- 警察はブリュッセルのデモ参加者を約3万人と推計しました。社会主義系労組ABVV/FGTBは事前に5万人と見込んでいました。警察によると、ブリュッセル中央駅付近で覆面をした少人数のグループが警官と衝突し、未成年13人を含む21人が拘束されました。
- バルト・デウェーフェル首相率いる5党連立政権は、2029年までに歳出削減と新たな歳入で約100億ユーロを確保しようとしていますが、10月中旬の合意目標を達成できず、首相の施政方針演説(State of the Union)を中止しました。
- ブリュッセル・モーニングによると、閣僚らは10月17日、賃金・給付の自動物価連動(インデクセーション)を制限する可能性があった2027年向け40億ユーロ規模の緊急メカニズム案を見送りました。複数年度パッケージをめぐる協議は続いています。
- 政府は、利払い費の膨張を避けるには今、痛みを伴う措置が必要だと主張しています。労組は、負担が労働者や年金生活者、低所得世帯にのしかかると訴え、代わりに高所得者への増税を求めています。
ベルギーではストライキは珍しくありませんが、この秋は街頭と閣議室が同じ争いに巻き込まれています。労組や学生が歳出削減に反対して行進する一方、フランデレン民族主義者のバルト・デウェーフェル氏が率いる連立政権は、何を削減するかで合意できずにいました。その結果、政府と労組の間、そして政府を構成する5党の間という、二重の膠着状態が生じています。
本解説では、何が提案されているのか、街頭で何が起きたのか、それぞれの立場は何を主張しているのか、そして今後何に注目すべきかを整理します。
背景:100億ユーロの穴
各党のシンボルカラーにちなんで「アリゾナ」と呼ばれるデウェーフェル連立政権は、首相の新フラームス同盟(N-VA)、フランス語圏の自由主義政党・改革運動(MR)、中道のレ・ザンガジェ(Les Engagés)、フランデレンの社会主義政党フォールラウト(Vooruit)、フランデレンのキリスト教民主党(CD&V)で構成されています。ブリュッセル・タイムズとベルガ通信によると、連立政権は財政赤字を削減し、2029年までにEUの財政規律を守るため、歳出削減と新たな歳入で100億ユーロ超を捻出する必要があります。国立銀行と債務庁の幹部は、明確な対策がなければベルギーは利払い費の「雪だるま式」の増加に直面しかねないと警告しており、デウェーフェル首相も議会でこの警告を繰り返しています。
政府はまた、昨年の再現も避けたい考えです。昨年は合意が11月末にずれ込み、年明けには暫定的な月次支出枠で国家を運営しなければなりませんでした。
検討されている案
| 提案(報道ベース) | 支持 | 反対 |
|---|---|---|
| 付加価値税(VAT)の標準税率を21%から22%に引き上げ。6%と12%の税率を9%に統合する可能性も | N-VA、CD&VはVAT改革は避けがたいとの立場 | MR(越境購買への懸念)、Vooruit(6%税率について)、労組 |
| 医療費を約20億ユーロ削減、または医療支出の伸び率基準を引き下げ | デウェーフェル首相の案に盛り込み | Vooruit、Les Engagés、労組 |
| 難民・移民分野での歳出削減 | N-VA | Vooruit、Les Engagés |
| 合意済みの約20億ユーロ(純額)の人件費負担軽減を維持 | N-VA、CD&V | 労組は負担を高所得層に移すよう要求 |
| 2027年向け約40億ユーロ規模の緊急メカニズム(自動物価連動の制限を含む可能性) | 10月14日にデウェーフェル首相が提示 | Vooruit、CD&V。10月17日に見送り |
出典:ブリュッセル・タイムズ(10月6日・10日)、ブリュッセル・モーニング(10月18日)、ユーロニュース、ロイター。交渉の進展に伴い各党の立場は変わる可能性があります。
経緯:時系列
- 10月上旬:リエージュで、教育費の上昇や過密な教室、高等教育を受けにくくするのではと学生が懸念する改革に抗議する学生デモが始まったと、ロイターが報じました。衝突や商店への被害を受けて当局は公共の場での集会を禁止しました。ユーロニュースとアルジャジーラは、同地で200人超が逮捕され、警官数十人が負傷したと伝えています。
- 10月4日(日):デウェーフェル首相と連立パートナーは9時間近く協議しましたが、合意に至らなかったとブリュッセル・タイムズが報じました。Les Engagésのマキシム・プレヴォ党首は案を「バランスを欠く」と評しました。
- 10月8日(木):デウェーフェル首相は議会で、迫りくる債務と利払い費の悪循環を防ぐには今、痛みを伴う予算措置が必要だと述べたと、ロイターが報じました。
- 10月9日(金):労組ABVV/FGTBとACV/CSCが呼びかけた全国ストにより、公共交通機関、航空、学校、保育が混乱しました。数万人が「私たちの財布に手を出すな」というスローガンを掲げ、ブリュッセル中央駅からブリュッセル南駅まで行進しました。警察によると主要なデモは平和的でしたが、覆面をした数十人が石や瓶、花火を投げ、シェアサイクルなどに放火しました。警察は放水砲と催涙ガスを使用し、21人(うち未成年13人)を拘束しました。数百人の学生も行進に加わりました。
- 10月10〜11日の週末:連立パートナーは合意できず、首相府は10月13日(火)に予定していた施政方針演説を中止したと、ロイターが報じました。
- 10月12日(月):2日目の全国ストで公共部門の一部が停止し、鉄道、公共交通、公共放送、学校に影響が出ました。ブリュッセルでの大規模なデモは行われませんでした。
- 10月14日(水):デウェーフェル首相は、市場の圧力が高まった場合に2027年に約40億ユーロの調整を発動しうる緊急メカニズムを提示したと、ブリュッセル・モーニングが報じました。
- 10月17日(土):閣僚らは緊急メカニズムを「現段階では」見送り、複数年度計画に再び焦点を移しました。ダヴィッド・クラリンヴァル副首相は、この仕組みは予備策として引き続き選択肢に残ると述べました。
抗議する側の要求
ロイターによると、労組は政府の措置が労働者や年金生活者、低所得世帯に負担を負わせると主張しています。ユーロニュースによれば、労組は医療などの分野での削減ではなく最高所得層への増税を求め、日常の物価を押し上げるVAT引き上げに反対しています。アルジャジーラによると、賃金や給付をインフレに連動させるベルギーの自動賃金物価連動制度へのいかなる制限にも、また年間労働時間制の導入計画にも反対しています。
ある労組代表はユーロニュースに対し、「状況はますます速いペースで悪化しており、人々はもううんざりしています」と語りました。労組幹部は、暴徒は自分たちの集会とは無関係だと述べました。
主にフランス語共同体の学生たちは、教育予算の削減と費用の上昇に抗議しています。一部の学生はアルジャジーラに対し、フランスの学校での抗議運動に触発されたと話し、自分たちの声が聞き入れられていないと感じていると語りました。
政府の対応
デウェーフェル首相の主な論拠は財政面にあります。利払い費が膨らめば公共サービスに回せる余地が狭まり、将来世代の負担になるため、後で動くより今動くほうが安くつくという主張です。首相は、昨年のような予算の遅れを繰り返すことは選択肢にないと述べています。首相府は抗議について詳しいコメントを出しておらず、Bullquillが確認した報道の範囲では、労組の要求に直接応じた政府声明は見当たりませんでした。
連立内部の対立は、誰が負担を負うかをめぐるものです。MRはVAT引き上げに強く反対しており、ベルギー国民の56%が国境から25キロ以内に住んでおり国外で買い物ができると指摘しています。VooruitとLes Engagésは医療費削減と一部の移民関連措置を拒否しています。N-VAとCD&Vは人件費負担軽減の撤回を拒んでいると、ブリュッセル・タイムズが報じました。
影響と意味
- 家計への影響:VATの変更、医療費の削減、そして物価連動制度への手直しは、いずれも生活費に直接響きます。だからこそ、いつになく足並みをそろえた労組が早い段階から動員をかけています。
- 連立政権への影響:ベルギーのメディアは、膠着が長引けば政権の結束が揺らぎかねないと報じました。税ではMRを、社会支出ではVooruitを満足させる予算を組むのは容易ではありません。
- 財政への影響:ベルギーはEUの財政規律に基づき、欧州委員会に予算計画を提出しなければなりません。期限を逃すこと自体は危機ではありませんが、遅れが長引けば投資家や欧州委員会の不安を招くおそれがあります。
- 欧州への影響:ロイターは、ベルギーの抗議は予算や生活費をめぐるこの秋の広範な抗議の波の一部であり、フランスとイタリアでの学校関連や生活費をめぐる抗議、スペインでの住宅をめぐる抗議と並ぶものだと指摘しました。
今後の展開
- 予算合意:ロイターが引用したベルギーのメディアによると、合意は10月下旬か11月上旬にずれ込む可能性があります。施政方針演説は合意後に日程が改めて組まれます。
- 労組の対応:確認した報道の範囲では、労組は新たな全国ストの日程を発表していませんでした。最終案、特にVAT、医療、物価連動に対する労組の反応が、ストが再開されるかどうかを左右します。
- 学生:リエージュとブリュッセルでの学生デモが続くかどうか、また集会禁止が解除されるかどうか。
- 物価連動:クラリンヴァル副首相が示唆したように、協議が決裂した場合に見送られた緊急メカニズムが再浮上するかどうか。
よくある質問
ベルギーの労組はなぜストライキをしているのですか?
労組ABVV/FGTBとACV/CSCは、次期連邦予算に向けて議論されている緊縮策に反対しています。VATの引き上げ、医療費の削減、賃金・給付の自動物価連動を制限する可能性などが含まれます。労組は、負担が労働者や年金生活者、低所得世帯にのしかかると主張しています。
10月9日にブリュッセルで何人が行進しましたか?
警察は約3万人と推計しました。労組ABVV/FGTBは事前に5万人と見込んでいました。警察によると、覆面をした少人数のグループが警官と衝突した後、未成年13人を含む21人が拘束されました。
ベルギー政府はどれだけの財源を確保しようとしていますか?
バルト・デウェーフェル首相の連立政権は、財政赤字を減らしEUの財政規律を守るため、2029年までに歳出削減と新たな歳入で約100億ユーロを確保しようとしています。
ベルギーの予算はすでに合意されましたか?
10月21日時点では合意していません。連立政権は10月中旬の目標を達成できず、デウェーフェル首相は施政方針演説を中止し、10月17日には閣僚らが40億ユーロ規模の緊急メカニズム案を見送りました。ベルギーのメディアは、合意が10月下旬か11月上旬にずれ込む可能性があると報じています。
ベルギーの学生はなぜ抗議しているのですか?
主にフランス語共同体の学生が、教育予算の削減、費用の上昇、過密な教室に抗議しています。ユーロニュースとアルジャジーラによると、リエージュで始まった抗議では同地で200人超が逮捕されました。
出典
- Reuters (via The Star): Protesters clash with police in Brussels as unions and students march
- Reuters (via Internazionale): Belgium strike partly shuts public sector as budget deal delayed
- Al Jazeera: Thousands rally for anti-austerity protest in Brussels amid clashes
- Euronews: Police and protesters clash in Brussels as anti-austerity rally disrupts city
- The Brussels Times: Belgium's 10 billion euro budget talk, what happened at the weekend
- The Brussels Times / Belga: De Wever's cabinet returns to discuss mass budget overhaul
- Brussels Morning: Belgian budget crisis, emergency plan halted