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アルゼンチンとチリで教育デモ、学生が街頭に出る理由
ブエノスアイレスの大学財政をめぐる対立から、サンティアゴでのホセ・アントニオ・カスト大統領の初予算案への抗議まで、教育は南米の緊縮財政をめぐる争いの最前線となっています。今月何が起きたのか、なぜ重要なのかを解説します。
要点
- アルゼンチンとチリでは今月、右派政権による教育予算の抑制に抗議するため、学生、教員、労働組合が再び街頭に出ています。
- ブエノスアイレスでは2026年10月15日、第5回連邦大学マーチが行われ、ハビエル・ミレイ大統領の政権に大学財政法の施行を求めました。アレハンドラ・モンテオリバ治安相は参加者を約12,000人とし、そのうち200~300人が暴力的だったと述べています。同氏によると、31人が拘束され、警官8人が負傷しました。
- サンティアゴでは10月1日、ホセ・アントニオ・カスト大統領の初の予算案に含まれうる削減に反対して学生がデモ行進を行い、10月18日には2019年の社会騒乱から7年を記念するデモに数千人が参加しました。当局はそれぞれ17人、少なくとも29人の拘束を発表しています。
- 両政府は財政の立て直しを進めているとし、抗議の権利は暴力を含まないと主張しています。主催者側は、削減が公教育を空洞化させていると訴え、当局の過剰な警備を批判しています。
- 対立の舞台は今後、司法と予算審議に移ります。アルゼンチンの大学財政法をめぐる争いは裁判所で審理されており、チリ国会は2027年度予算案を審議しています。
無償の公立大学は、アルゼンチンでは、そして近年はチリでも、国の誇りとされています。両国では現在、公共支出の削減を公約に掲げて当選した大統領が政権を握っており、いずれの国でも教育が反発の最前線となっています。本稿では、今月ブエノスアイレスとサンティアゴで何が起きたのか、それぞれの当事者が何を主張しているのか、そして二つの対立がなぜ国境を越えて重要なのかを解説します。
アルゼンチン:大学財政法をめぐる対立
背景
リバタリアンの経済学者であるミレイ氏は、公共支出に「チェーンソー」を入れると約束し、2023年12月に就任しました。スイスの通信社キーストンSDAによると、同政権は公共部門の雇用を数千人分削減し、補助金を減らし、社会プログラムを段階的に廃止したほか、公立大学の予算を大幅に削減しました。大学側は5月、2023年から2026年にかけて実質ベースの予算配分が45.6%減少したと発表しました。この数字は大学自身によるもので、Bullquillは独自に検証していません。
法的な争点は、国会が2025年に可決した大学財政法です。キーストンSDAによると、ミレイ氏は同法に拒否権を行使しましたが、国会がこれを覆し、それでも政府は資金を交付していません。この争いは裁判所でも審理されています。政府は、持っていないお金は使えないとし、大学は資金の使い道についてより説明責任を果たすべきだと主張しています。
10月15日に何が起きたか
アナドル通信によると、全国大学間評議会(CIN)、アルゼンチン大学連盟(FUA)、大学の労働組合が主催した第5回連邦大学マーチのため、数千人の学生、教員、大学職員、組合員がブエノスアイレスの国会前に集まりました。AFPによると、デモは平和的に進んでいましたが、覆面をした集団が警察に石などを投げつけ、警察は催涙ガスと放水銃で応じました。アナドル通信が引用したラ・ナシオン紙によると、中心集会は激しい雨と衝突のため、現地時間の午後4時40分ごろに予定より早く終了しました。
ペルフィル紙によると、国会内では、ミレイ氏の広範な規制緩和政令の撤回を審議するため野党が招集した下院の特別会期が、定足数に届かず流会となりました。デモ参加者もこの政令の撤回を求めていました。
数字と、その発表元
| 項目 | 数字 | 出典 |
|---|---|---|
| 参加者数(10月15日、ブエノスアイレス) | 約12,000人(うち暴力的な参加者200~300人) | アレハンドラ・モンテオリバ治安相(ラジオ・ミトレ、ペルフィル紙経由) |
| 参加者数(2026年5月の大学マーチ、全国) | 150万人 | 主催者(キーストンSDA経由) |
| 拘束者数(10月15日) | 31人、うち未成年2人(別の報道では25人) | モンテオリバ氏、ラ・ナシオン紙(アナドル通信経由) |
| 負傷した治安要員 | 8人 | 治安省(ペルフィル紙経由) |
| 国会周辺の被害額 | 約9,000万ペソ(暫定) | ブエノスアイレス市政府(ペルフィル紙経由) |
| 数日後も拘束中の人数 | 成人4人、公務執行妨害(権力への抵抗)の容疑 | 人権団体Correpi(ペルフィル紙経由) |
確認した報道の範囲では、主催者側は10月15日の参加者数の推計を公表していませんでした。
政府と抗議者の立場
モンテオリバ氏は警察の対応を擁護し、デモの権利は暴力を正当化しないと述べ、警官を襲撃したり財産を損壊したりした者は法の裁きを受けると強調しました。ペルフィル紙によると、同氏は一連の事件を「テロ」と表現しました。同省は、騒乱が国会の妨害を狙ったものだとして、権力への抵抗、加重器物損壊、憲法秩序への攻撃について捜査するよう検察に求める刑事告発を行いました。一方、ペルフィル紙は、衝突が起きた時点で会期は開かれておらず、現在も拘束されている人々が問われているのは、より軽い権力への抵抗の容疑のみだと報じています。ディエゴ・サンティリ首相(内閣首席)は実行者を「犯罪者」と呼び、暴力と野党を結びつけました。
主催者側は警察の対応を非難し、政府に法律の順守を改めて求めました。ペロン党系の議員は、同氏が「不必要な弾圧」と呼ぶ行為の停止を求めました。ペルフィル紙は、大学の隊列そのものでは暴力は見られなかったと報じています。
チリ:カスト氏の初予算案と学生の反発
背景
AFPによると、保守派のカスト氏は緊縮財政を掲げて2026年3月に就任しました。同氏は9月30日、初の予算案となる2027年度予算案を提出し、治安関連支出を9.1%、成長・雇用関連の基金を8.1%増やす内容としました。テレビ演説では、無償の公立高等教育を60万人以上の学生に対して継続すると表明しましたが、同政権は数か月前にその制限を検討していました。大学予算を削減するかどうかについては言及しませんでした。
何が起きたか
- 10月1日:AFPによると、学生たちは「教育予算を1ペソたりとも減らすな」をスローガンに、イタリア広場からモネダ宮殿(大統領府)に向けて行進しました。当局は参加者を約6,000人と推計しました。警察は約800メートル進んだ地点で行進を止め、催涙ガスと放水車を使用しました。一部の参加者は石や瓶を投げました。内務省は17人の拘束を発表しました。
- 10月18日:ペルフィル紙によると、2019年の社会騒乱から7年を記念し、政府の財政調整に反対するため、サンティアゴで数千人が行進しました。カラビネロス(チリ国家警察)によると、行進は平和的に始まりましたが、その後覆面の集団が鈍器や火炎瓶で警官を襲撃しました。当局によると、少なくとも29人が拘束され、警官6人が負傷しました。
政府と抗議者の立場
マルティン・アラウ治安相は、警官1人が花火で顔を負傷したと述べ、社会は暴力の正当化を拒んでいると主張しました。カスト氏は以前から2019年の抗議行動に批判的です。学生団体は、予算案が教育よりも治安を優先していると訴え、公立大学への削減を懸念しています。世論は割れています。ペルフィル紙が引用したクリテリアの世論調査では、59%が2019年の騒乱を否定的に評価する一方、68%がその要求はいまだ解決されていないと答えました。
影響と意味
- 政治的な「越えてはならない一線」としての教育:両国とも、無償の公立高等教育は左派をはるかに超えた幅広い支持を得ています。そのため大学は、他の多くの予算項目に比べて削減の対象にしにくく、支持者が大規模な動員を行える理由にもなっています。
- 財政規律か、公共サービスか:ミレイ氏は支出抑制がインフレ低下につながったと主張し、カスト氏は財政の立て直しが必要だと訴えています。批判派は、その節約が公共サービスと将来の成長を犠牲にして行われていると指摘します。この論争の決着は、経済の結果と選挙の両方に左右されることになります。
- 警備と抗議の権利:両政府は、大部分が平和的なデモの周辺で起きる暴力に強硬な姿勢をとっています。アルゼンチンが「憲法秩序への攻撃」のような重い罪状を用いていることは、人権団体の間で争点となっています。ペルフィル紙によると、過去の事例では裁判所がこうした罪状を認めないことが多かったといいます。
- 地域的なパターン:コロンビアの新しい右派政権も今月、支出と抗議活動の規制をめぐり、初の全国的な抗議行動に直面しました。三つの事例を合わせると、学生、教員、労働組合が、南米で相次ぐ右派政権に対する主要な組織的野党勢力になりつつあることがわかります。
今後の焦点
- アルゼンチン:政府に大学財政法の施行義務があるかどうかをめぐる裁判所の判断と、デモ参加者に対する刑事告発の行方です。大学側は、第6回全国マーチの日程をまだ発表していません。
- チリ:教育支出の変更の有無を含む、2027年度予算案の国会審議です。憲法は、9月30日の提出から60日以内に議会が審議を終えるよう定めています。
- 両国共通:学生連盟が過去のようにストライキや占拠へと行動を強めるかどうか、そして政府が譲歩を示すかどうかです。
よくある質問
アルゼンチンの学生はなぜ抗議しているのですか?
ハビエル・ミレイ大統領の政権に対し、国会が2025年に可決し、大統領の拒否権を覆して成立させた大学財政法の施行を求めています。大学側は、2023年以降、予算配分が実質ベースで大きく減ったとしています。政府は支出を抑制し続ける必要があると主張しています。
10月15日のブエノスアイレスでのデモでは何が起きましたか?
第5回連邦大学マーチのため、数千人が国会前に集まりました。デモはおおむね平和的でしたが、覆面の集団が警察に石を投げ、警察は催涙ガスと放水銃を使用しました。治安相は、参加者は約12,000人で、31人が拘束され、警官8人が負傷したと述べました。
チリの学生はなぜ抗議しているのですか?
学生たちは、ホセ・アントニオ・カスト大統領の初の予算案である2027年度予算で公教育が削減されることを懸念しています。カスト氏は60万人以上の学生に対する高等教育の無償化を継続すると述べましたが、大学予算を削減するかどうかは明らかにしていません。
チリでは何人が拘束されましたか?
チリ内務省は10月1日の学生デモで17人の拘束を発表しました。また当局は、2019年の騒乱から7年を記念した10月18日のデモで、少なくとも29人の拘束と警官6人の負傷を発表しています。
今後はどうなりますか?
アルゼンチンでは、裁判所が大学財政法をめぐる争いを審理しており、検察が政府によるデモ参加者への告発を精査しています。チリでは国会が2027年度予算案を審議中です。両国の学生団体は、さらなる抗議行動を示唆しています。
出典
- Anadolu Agency: Injuries, arrests reported during university funding march in Argentina(英語)
- AFP (via Times of Israel): Argentine students clash with police at demo over university funding(英語)
- Keystone-SDA (via blue News): Injuries reported during student protests in Argentina(英語)
- Perfil:モンテオリバ氏、警察の対応を擁護し参加者は12,000人のみと発言(スペイン語)
- Perfil:政府は憲法秩序への攻撃と告発、拘束者は権力への抵抗の容疑のみ(スペイン語)
- Tiempo de San Juan (NA):連邦大学マーチ、2026年5月(スペイン語)
- AFP (via El Mercurio):チリで教育予算削減の可能性めぐり学生と警察が衝突(スペイン語)
- Perfil:チリ、社会騒乱7年の行進で29人拘束(スペイン語)